僕の世界の半分で
「雅翔くんってね、自分の描いた絵を見て、いつも寂しそうにしてるんだ」
「…え?」
「自分じゃわからないよね。でも、いつもそうなの。私と話すときは本当に楽しそうに笑ってくれるのに、一人の世界に入り込んだ途端、きみの背中がすごく小さくて、弱弱しく見えた」
彼女の世界は独特だ。
創り出すものも、選ぶ言葉も、唯一無二の雰囲気を纏っている。
彼女はすごい。
だからこそ、その才能をそばで見ていたいとも思うのだ。
―――きみがそんな顔をする理由が知りたかった、
「そうやってきみを見ているうちに、好きになっちゃった」
へへ、と彼女は照れくさそうに笑った。
「その子が理由だったのかもしれないね」と付け足した彼女に、僕は、すぐに返せる言葉が見つからなかった。
「好き」って、すごく曖昧な感情だ。
ふとした瞬間に「いとおしい」って思ったり、「今の好きだなぁ」とか、そういうものが積み重なった大きな愛に変わる。
形はそれぞれで、不確かなもの。