僕の世界の半分で
──先輩と喫茶店で語り合って以降、先輩とゆんが対面する機会は思いのほかすぐにやってきた。
母さんに初めて先輩のことを紹介した日、「ご飯食べていったらどうかしら」という流れで先輩が夕飯を食べていくことになった。
そしたら偶然双子から「今からいっていい?」と連絡が来て、母さんに伝えたら「どうせなら菊花ちゃんたちも呼びましょうよ」という思いがけない展開になったのである。
ゆんは少しだけ人見知りを発揮していたものの、先輩のやわらかな雰囲気と口調に安心したのか、ゆんは思いの案外早く先輩になついていた。
2人が仲良くなることは喜ばしいことだ。
ただ、僕よりも先にゆんが浅木先輩のことを「ゆきちゃん」と呼んでいたのは少し悔しかった。
僕はまだ呼べていないのに ずるいぞ、ゆん。
「先輩、もっとあいつの話聞かせて」
「ええ、そうだなぁ…」
「できればこう…ネタになるような」
「うーん…あ、そういえばねー……」