僕の世界の半分で
『明日、入学式終わったら俺んちで飯な。ゆんも来るって言ってた』
『あー、まじで?』
『絶対来いよ雅翔』
『母さんにも言っとく』
『おー頼んだ』
電話越しの双子の声に安心感を覚える。
明日を不安に思っていた気持ちは、双子とゆんと一緒に会うのが楽しみという気持ちで上書きされた。
そうだ。もし友達ができなくたって、僕には大事な幼馴染が3人もいるじゃないか。
みんなと一緒にいるのが当たり前に楽しい。
僕の居場所は、昔からずっと変わらずそばにあるんだ。
そんなつい昨日の出来事を思い出しながら着替えを済ませた僕は、少し寝ぐせの付いた髪を軽くセットして部屋を出た。
階段を下りてリビングのドアを開ければ、珈琲の香りが鼻腔をくすぐった。
「おはよー」
「雅翔。あんたボタン上まで閉めなさいよ」
「後で閉める。苦しいんだって」
「そう言って忘れるでしょう。入学式からそんな着崩してたら先輩に倉庫でボッコボコにされるわよ」
「いつの時代だよ」
口煩い母さんが少し古い例えで小言を言う。
なんだよ倉庫って。そもそもどこにあんだよ。