僕の世界の半分で
「俺、ケーキ屋になりたかったんだって。かわいくない?」
「晴陽は?」
「警官」
「かっこいいな」
「おい雅翔、俺は?ケーキ屋とか可愛いだろ」
「ふうん」
「…もういいもん…呪われろみんな…」
拗ねた真似をする朝陽を軽く流して、再び文集に目を移す。
書いたような気もしなくないけれど、小学1年生の時の将来の夢の記憶までは思いだせない。
…なんて書いたんだっけ。
頭の中でそんなことを考えているうちに、朝陽が僕の文が載っているページを見つけたらしく、「雅翔のあったー」と面白がったように声を上げた。
浅木先輩も身を乗り出して、僕の文集を読んでいる。
僕もさらりと自分の文集に目を通す。
過去の自分の将来像は、かなり夢見がちだった。
小学1年生だ。無理はない。
けれど、高校生になった今読み返してみて思ったことは、懐かしいというよりも恥ずかしい気持ちの方が強い。
……こんなこと思ってたんだ。
本当、我ながら大きな夢だったと思う。