僕の世界の半分で




朝食を食べ終え、歯磨きをして少しテレビを見てくつろいだ後、「そろそろ行く」と言ってソファを立つと、洗い物をしていた母さんが「早くない?」と少し驚いたように言った。



…母さん、やっぱり最近記憶力落ちてきてるかも。


見た目はまだ若い方だとは思うけれど、なんだかんだ母さんも45歳だ。
本人に言ったら多分怒られるから言わないけれど、…確実に歳の影響が出てきていると思う。




「張り切るのはいいけどさすがに早すぎるんじゃないの」

「別に張り切ってねえよ」

「友達出来るといいわねえ」

「…そうじゃなくて。ゆんと約束してるの、いつものことだろ」



ゆんとの春の約束。
毎年のことなのに忘れるなんて、母さん、ダメだって。


勝手に僕が張り切っていると捉えていた母さん。

僕の言葉に、「ああ!そうだ忘れてた」と言ってへらりと笑った。


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