紅の華_


「ごちそうさま。」

結構大きめに作ったのにぺろりと完食するのを見て、やっぱり子供ではないなと思わせられる。



「…そういえば」


食後のコーヒーを淹れていると、後ろから声が聞こえて返事だけを返した。




「それ、綺麗だね。」

ブラックコーヒーをテーブルに置くと、男の人は自分の頭を人差し指でトントンとしながらそう言った。



つまり“それ”とは、私の髪のことということになる。



「…変な人ですね。」

なんて零しながらも、内心胸が熱くなったのはナイショの話。




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