紅の華_
「で…も、大丈夫…だよ、芽依。」
血がついた手を見て、蓮は私に触れるのを辞めた。
それを見て私は蓮の手を掴み、自分の頬にあてる。
「汚れ、ちゃうよ?」
眉を寄せ、かすれた声の蓮はそう言った。
けれどそんなの気にしない。
今はそんなの……どうだっていい。
「生きてて、よかった…っ」
途端に溢れる涙は蓮の頬へと伝っていく。
「“生きててよかった”って?」
───そして地獄の声は響いた。
メニュー