紅の華_
血まみれの背中。
それと対立するように前に立つ、ライターを持つ男。
「お兄ちゃん、弟くんと彼女を守る為にここに来たのに残念だったな。」
男はライターを軽く飛ばして、手遊びが多い。
それに怪我をしているにもかかわらずニヤニヤしていて、何を考えているのか分からない。
「…残念なのはそっちの方だよ、今藤さん?」
今藤、という男の名前を呟いて蓮は一歩一歩距離を詰める。
…近づいちゃダメ。
でも、何故か声が出ない。
“芽依を頼んだ”
───あの顔が本気だったから。