紅の華_
Episode◇4
◆後悔と今
「ごめん、ね…」
場所が違うだけで、目が覚めるとあの時と同じ光景だった。
「あの時、私、藍のことっ…」
“兄貴は死んだ。”
そう教えてくれた藍を、私は叩いた。
ヒステリックに叫ぶ私に気づいた看護師さん達が来て、私は意識を失ってそこから……記憶を失っていた。
それも蓮に関する事だけを。
「芽依、記憶…」
藍の目元に光る涙を見て、胸が痛くなる。
どうして私はこんなにも大切な人の事を忘れてたんだろう。
…どうして藍は、こんなどうしようもない私のそばにいてくれたんだろう。