紅の華_
「落ち着いた?」
「…ん。」
首元で光るネックレスを見て、目が覚める前まで忘れていたなんて事が不思議に思える。
「…る、から」
俯いたまま藍がぼそっと呟いた。
「何か言った?」
よく聞こえなくて聞き返すと、藍は私を強く抱き締めた。
「絶対、護るから。」
その力強さと声が蓮と重なる。
やっぱり兄弟似てる。
けれど、蓮は蓮で藍は藍で。
「…もう泣かせない。」
今私の前にいるのは蓮じゃない。
紛れもなく藍だから。
「うん。頼りにしてるね、藍。」
私が不思議とこの白い髪が嫌いになれなかったのは、思い出を繋ぐ一縷の望みだったから。
それが例え愛する人の死から造られたものであっても、唯一私に残されたものだったから────。