紅の華_


「俺、」


藍の言葉一つ一つが耳にかかって、擽ったくて恥ずかしさから逃れようとできない。








「…気持ち変わってないから。」



声のトーンを落としてそう言った藍は、理緒が振り返ったと同時に私をパッと離した。




「芽依、顔赤いよ?大丈夫?」




“…気持ち変わってないから。”


…それって、つまりまだ私のことを好きって言うこと?





「うん…大丈夫。」



そんなわけないよね。

自分の事を忘れてた人の事なんて、未だに好きでいてくれるはず……






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