紅の華_
「藍、入る───」
ノックをして、“入るよ”と言うその前に暗闇から手が伸びてきた。
力強いけれど決して傷つけようという悪意は感じないこの手は、紛れもない藍のもの。
「…藍?」
部屋に入った瞬間ただでさえ暗い部屋だったのに、藍の腕の中にすっぽりな私は状況が理解できない。
そしてパソコンの明かりに照らされたカレンダーをみて、何故藍がこんな風になっているのかを察した。
「…大丈夫だよ、藍。」
───明日は蓮の、月命日だ。