紅の華_
「藍、こっちこっち!」
「走ると転ぶよ、芽依」
…本当に蓮に似てる。
やっぱり過保護で、優しくて、甘い。
「…っほら、言わんこっちゃない…」
少し大きな石ころにつまづいて転びかけると、咄嗟に藍が支えてくれたから転げずに済んだ。
「あ、ありがとう…」
…こんなにも胸が高鳴るのはきっと、距離が近いから。
「芽依、顔赤いけど───」
「…っ、ごめん、ちょっと飲み物買ってくる!」
顔を近づける藍を突き放し、学習しない私は自販機へとまた走った。