紅の華_
──あれから何時間が経ったか。
今何してるのか、どこにいるのか、わからないまま。
「……こんなんじゃ、アンタに顔向けできないな。」
自室に飾ってある、3人で撮った写真。
左から俺、芽依、兄貴で撮った、唯一の写真。
…笑ってる。
この頃は、笑う事に深い意味なんて考えなかった。
今では…いや、少し前までは笑う事にも、何もかもに意味を見出していた。
そうじゃなきゃ生きてる意味がなんなのか分からなかったから。
…でもまた、偶然に芽依と再会して。
記憶を失ってしまったあの日から、会わなかったから。