紅の華_
その日から1人欠けたあの頃に戻れた気がした。
その日から、お腹がすいた感覚を久しぶりに味わった。
…芽依とまた会ってから、全てが変わった。
「…………」
それでもたまに思い出す、あの時の芽依の顔。
目の前で燃えていく建物を見て、芽依は今までに見た事がなかった顔をしていた。
絶望と、悲しみと、握りしめられたピアス。
今思い出すだけでも……心臓が締め付けられるほど痛い。
「…非通知?」
普段なら出ないけどその時は何故か手に取った。
───何かが、呼んでいる気がした。