紅の華_
「なんでスパイされたくらいでって思うだろ?」
そう女に聞くと、図星だったのか少し反応した。
やっぱりな。
言葉なんかじゃ俺の復讐への想いも、気持ちも、何も伝わらねぇ。
「アイツはな…神崎は俺に言ったんだよ。」
忘れもしない、奴をスパイだと暴いて捕まえたあの日に。
「“そんな汚い手で護れるものなんてひとつもないだろうね。ねぇ、今藤さん?”」
その挑発したような顔、全てを知っているかのような発言が。
「俺を……復讐の鬼にしたんだよ」
“──お兄ちゃん!”
何も知らねぇ奴が……いや、アイツは全てを知っていて尚、そんな言葉選びをしたのかもしれない。