紅の華_
「だからアイツは死んだ。殺されるに値する男だったからなぁ?」
時々脳に語りかけてくる懐かしい声すらも、今や過去のものだ。
アイツを殺すと決めた日からその声は聞こえなくなった。
──俺を未だに兄と呼ぶ妹の声が。
「だから俺はアイツの大事なヤツは全員殺す。……そして地獄で奴に詫びてもらう」
俺は最低な兄貴だ。
それでいい、そっちの方がやりやすい。
己を捨てろ。
全てを捨てて、俺は復讐を手に取った。
だから────これでいい。
◆◇◆