紅の華_
「藍!!」
夏都の焦ったような声。
そして階段を駆け上がる音が聞こえる。
「今藤…!!」
一体これは誰の声…?
「よく来たなぁ、バカ弟くん?」
あまりにも憎しみの籠っていた声だったから、分からなかった。
…きっと藍は怯えているだけ。
大切な人を失うのは、怖いことだから。
「行かなきゃ…」
鎖を無理矢理外したから、手首は赤くて痛むけれど。
「…なんで抵抗しねぇんだよ。」
ドアを開けるとそこには、今藤 瞬に馬乗りになっている藍の姿が見えた。