紅の華_
「藍!」
もう、私の声も届かない。
それくらいに憎くて憎くてたまらない相手だったんだろう。
「…っもうやめて!」
後ろから藍を抱きしめると、振り上げられていた手が止まった。
「芽、依…?」
藍が正気を取り戻すと今藤 瞬はすぐさま藍の下から退き、距離をとる。
その顔は腫れ上がっていて、見るに堪えないものだった。
…けれど藍の憎しみがそれだけで済んだとも思えない。
「あーあ…来たのかよ、嬢ちゃん」
やっぱり、悲しそうな顔。