紅の華_
「私が死んだなんて嘘ついて…何がしたいの?」
この男の…今藤 瞬の真意が見えない。
常に何を考えているのかわからない。
「何がしたい…ねぇ。つか嬢ちゃん、俺の事憎んでんのにその弟くん止めてよかったワケ?」
その言葉にハッとした表情をした藍は咄嗟に私の前に出た。
今はあの日のような距離感と、目の前にはあの怪しげな顔。
全てを思い出すのに、重ねるのには十分過ぎた。
「もう終わりにするか。」
そう言って今藤 瞬がポケットから取り出したのは……ドラマの中でしか見たことがなかった、黒い塊だった。