紅の華_


「や…っぱり…」


“紗奈”

そう名前を呼んで目を瞑った今藤 瞬が、こうすることは何となく気づいてた。




「な、んで……」




最後の言葉を呟いた後、今藤 瞬は私たちに向けていた銃口を自分の頭部へと向けた。


その瞬間、いや、その前に察していた私は既に走り出していた。



…引き止める藍を突き放して。








「な…にやってんだよ…!!」


怒ってる。

初めてこんなに感情をあらわにした今藤 瞬を見た気がする。


どうしてこの人がこんなに悲しそうな顔をするのか、やっぱり私には分からないし、分からなくてもいい。





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