紅の華_
Episode◇6
◆道標
思えば後悔は沢山あった。
1年前にずっと蓮に着いていたら。
1年前に蓮の変化に気づけていたら。
1年前に……もっとちゃんと、好きだと伝えられていたら。
そんな後悔を思う度に、藍の顔がチラついた。
似てるけど、どこか似てない2人。
記憶を取り戻してすぐはきっと私は蓮と藍を重ねて見てた。
自分でも最低だって自覚はある。
けれどそうすることで自我を保ってた。
蓮がいない今を生きる為に、そうしてた。
でも最近は、藍が藍にしか見えなくて。
他の誰でもない、神崎 藍という1人の人間としてみてる。
きっとそれは私が藍を…─────