紅の華_


「やっと気づいたんだ?」


急に視界が明るくなった。

…いや、ここは見覚えがある。




「…れ、ん…?」


隣には蓮。
そしてこの場所は、蓮と出会った場所……私の両親のお墓だ。





「久しぶり、芽依。また綺麗になったね。」


隣で笑う蓮を見るとあの頃を思い出す。

…もう二度と戻らない、あの頃を。





「どうして…」




私は今、現実世界では意識を失っていて。

頭の中でだけ意識があって、そしたら急に蓮が出てきて………





「幻なんかじゃない。俺だよ、芽依。」


私の考えてることなんか手に取るように分かる、この人はやっぱり本物の蓮で。

こんなファンタジーな事、普段は信じないのに信じてしまいそうになる。




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