紅の華_


「俺はね、藍と芽依だけが生き甲斐だったんだよ。」



景色は変わって、ここは両親のお墓の前。

さっきまでベンチの前にいた私達はもう居ない。




「…2人を失うくらいなら、死んだ方がマシだと思ってた。」


そう言って私の両親に手を合わせた蓮。

その横顔は安らかで、あの頃のまま。







「だから俺、悲しまないでほしい。」


頭を撫でるこの手が、我慢していた涙を促した。


“悲しまないでほしい。”

蓮がそう言うなら、その願いを叶えたい。





でも私は……



「いつまでも、悲しいよ…っ」




あの時の蓮の顔を思い出す度に胸が張り裂けそうになる。



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