紅の華_



「だから芽依、幸せになって。」


“──…する事は後悔じゃない。”



あの日、蓮から貰った言葉。






「ありがとう、蓮。…本当に、ありがとう。」


“言い足りなかった感謝を伝えればいいんだよ。”



何度言っても言い足りないくらい。

そしてもう、私は後悔しない。





「うん。こちらこそ、沢山幸せをくれてありがとう。」



手を重ねる。

蓮の足元の方から光が差して、目を瞑った。







「芽依、帰り方が分からないなら俺が教えてあげる。」





途端にお墓の景色が一変して辺りは真っ暗になった。


そしてそんな声とともに、一筋の光が差した。









「ありがとう、蓮。」



その光は蓮なのだとすぐにわかった。
















そしてもう私は振り返らない。







────いつだって蓮は、光は、私の前にあるから。
















< 208 / 225 >

この作品をシェア

pagetop