紅の華_
「だから芽依、幸せになって。」
“──…する事は後悔じゃない。”
あの日、蓮から貰った言葉。
「ありがとう、蓮。…本当に、ありがとう。」
“言い足りなかった感謝を伝えればいいんだよ。”
何度言っても言い足りないくらい。
そしてもう、私は後悔しない。
「うん。こちらこそ、沢山幸せをくれてありがとう。」
手を重ねる。
蓮の足元の方から光が差して、目を瞑った。
「芽依、帰り方が分からないなら俺が教えてあげる。」
途端にお墓の景色が一変して辺りは真っ暗になった。
そしてそんな声とともに、一筋の光が差した。
「ありがとう、蓮。」
その光は蓮なのだとすぐにわかった。
そしてもう私は振り返らない。
────いつだって蓮は、光は、私の前にあるから。