紅の華_


「…俺さ」

「うん?」


椅子に座り、指遊びをしながら藍は呟いた。



「芽依の言葉がなかったら、今藤がした事と同じ事を今藤に仕返してたと思う。」


今藤 瞬がした事と、同じ事。

その言葉の意味の深さを知って尚そう言うってことは、本当に藍はしていたのかもしれない。





「…よくよく考えたら、汚れた手じゃ芽依の事護れないし。」


“そんな汚い手で護れるものなんてひとつもないだろうね。”


蓮が今藤 瞬に言い放った言葉を思い出した。


その言葉を知らないだろう藍が、過去の兄が言い放った言葉と同じ意味の事を言うなんて。




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