紅の華_
「ありがとうございましたー」
緩い挨拶の中、自動ドアをくぐる。
時刻は18時30分。
近くのスーパーに寄り、出る頃には冬の夜空になっていた。
「ちょっと冷えるかも…」
重い荷物を肘にかけて両手を擦る。
いつの間にか下腹部の痛みが消えていたのはいいけど、明日には何をされることやら。
そんな事を考えただけで憂鬱になるけど休むわけにもいかないし…。
「…なにあれ?」
ぐるぐると頭の中を埋め尽くす嫌な事が、ひとつのあるものが視界に入っただけで消え去った。