紅の華_


「…あんたさ、それで何するつもりだったの?」


芽依の前に立ち、振り返って渡辺の目を見る。

すぐにガタガタ震えるくせに、弱いくせに、芽依のように本当は強い子を舐めてかかる。




「そのハサミで何するつもりだったのって聞いてんの。」


渡辺から取り上げたハサミを遠くに投げる。

それが落ちた音で、渡辺の周りの女たちも震え出した。





「…理緒。」


何も答えない女たちに詰め寄ろうとすると、やっぱり耳に残る声が私の名前を呼んだ。




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