紅の華_
「私は大丈夫だから。…行こ?」
そう言って笑う芽依の顔は、悲しげで。
誰がそんな顔をさせているのか、分からないからこそ不甲斐ない自分にも苛立って。
「私の秘密、理緒だけに教えるね。」
その日の放課後見せてもらった芽依の髪。
…綺麗だと、魅入ってしまった。
「そんな事言うの理緒だけだよ」
なんて芽依は自嘲していたけれど、本当に。
「本当に……綺麗。」
そしてまた笑う芽依に、ひとつ心の中で約束をした。