紅の華_
「赤いアネモネの花を、花束でお願いします。」
とある街中の花屋さんでこの注文をするのはやがて5年目になる。
「あら芽依ちゃん!そっかぁ、もうそんな時期なのね…」
命日ではない日もお墓にたまに行く時があって、その日も花束では無いけれど赤いアネモネの花を持っていくから、もうすっかり花屋のおばさんとは顔馴染みだった。
「これおばちゃんの気持ち。1本おまけしておくね。」
「ありがとうございます!」
ラッピング途中で頼んだ15本に追加された1本。
本当にここの店主さんは気さくでいいひとだ。