紅の華_
「…誰?」
砂利を踏む音が聞こえ、アネモネの花を落としてしまった。
この時期にお墓参りに来るのは私だけ。それに数が少ないここは、今までに1度も人に会ったことがなかった。
「あ…」
その花を拾った人を見て、動きが止まる。
「___綺麗な華だね。」
息を呑むほどに綺麗で、まるで造られたモノのようで。
「…そうだね。」
その肯定が“華”に向けてなのか“彼”に向けてなのか、無意識に呟いていた言葉の真意はわからない。