紅の華_
「好きなの?この花。」
そう言って花を近づける彼から、咄嗟に花を奪い取った。
その光景がまるで昔の私を見ているようで、痛い記憶が蘇ったから。
「この花、毒、あるから……」
──幼い頃。
春に咲くこの花をみて、写真で見た両親が好きな花だと思い私はその花を摘んでしまった。
そして私は、その花を手折った時に花の毒に触れていた。
「…毒性はあまり強くはないけど、腫れたりして痛いから、あんまり茎の方は強く触らない方がいいって言われたの。」