紅の華_
「…静かに。」
──何故だか、抱きしめられていた。
「居ないぞ!もっと良く探せ!!」
黒スーツに黒いサングラス。
柄の悪そうな人達が一斉に走っていく。
「…ごめんね、急に抱きしめ……って大丈夫?!」
……苦しかった。
というより、この胸の高鳴りが今現在進行形に苦しい。
「……俺さ、」
少し落ち着いたあとベンチに座らせられて、オレンジジュースを渡された。
それを飲んでいると、隣に座った男の人は俯いたまま口を開いた。