紅の華_


「色々事情あって、追われる身でね。どこにいても周りの人達に迷惑かけるんだよね」



その横顔は、夕日のせいもあってかやけに悲しげに見える。




「…だから、お墓なら亡くなった人しかいないし、誰にも迷惑かけないだろうって思って。」



…だからこの人お墓にいたんだ。

お花も持たず、明らかにお墓参りではない感じで。











「でも…キミが居た。」




あまりに自嘲したその笑みが、何故か私の胸まで痛くする。

やめてと言いたいけれど、言えない。




< 92 / 225 >

この作品をシェア

pagetop