紅の華_



小さい頃は、普通の人より痛みに弱くて泣いてしまった。



「…これで一応、応急処置は出来ました。」


アネモネの花の茎を折る時に出た汁が毒とは知らず、触っておきた皮膚炎で。





「ありがとう。…でも少し大袈裟じゃ………ごめん。」


「少し大袈裟」なんて言うから、眉を寄せて男の人を見ると咄嗟に謝ってきた。



花に泣かされた。
幼いながらに、ちょっと悔しくもあった。





それから、どうしてもアネモネの花というのが好きになれなかった。




< 94 / 225 >

この作品をシェア

pagetop