紅の華_


「…でも、俺は好きだな。」


茎の折れたアネモネの花の匂いを嗅ぎ、男の人は目を閉じる。


その姿は綺麗で、アネモネの花の方がまるで引き立て役。





「この茎折るとキミが心配してくれるし。」


「……そんな事が理由なんですか?」




それならさっきの、茎を折るときの上がった口角も頷ける。

この人は、人に心配をかけさせたい所謂“かまってちゃん”なのだと、よくわかったから。



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