世界でただ一人のヒーラーは生殺与奪を握ってます。
その様子を間近で見ていたエルザはサーシャのあまりの迫力に少し気圧されていたが、押し黙り俯いた冒険者達を見て、さすがに可哀想と思った。何よりも冒険者達は気位が高い。暴れたりはしないだろうがこのまま本当はいるはずであるポーションを買わずに帰り出す者達が出るかもしれない。そうなれば先ほど思ったように無駄な犠牲者が出るかもしれない。
「・・・サーシャ、少し言い過ぎではないか?彼らも命がけで街を守っているんだからな」
エルザは嗜めるようにサーシャに言葉をなげかける。サーシャは少し冷静を取り戻した。だけど、割り切れない思いもある。
「ごめんなさい。でも・・・仲間の悪口を聞くとどうしても許せなくて・・・」
「それは私も同じだ・・・でもな、サーシャ、ポーション一つで救われる命もあるんだよ・・・そのポーションで救われた人は少なからずアリシアに感謝するのではないか?それに少なからずここにいる者達は何度もこのポーションで救われているのも事実なんだ、それはアリシアが救っている事と何ら変わらないであろう」
エルザは冒険者達を見回す。冒険者達は俯きながらも口々に謝罪の言葉を発したのだった。
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