世界でただ一人のヒーラーは生殺与奪を握ってます。
次の日、朝の日差しが強くなる前にディアルは馬を駆る。目的は当然、噂の聖女。湖の畔に暮らすアリシアだった。ディアルは娼婦に聞いた通りに正門から出て東南の森に向かって馬を走らせる。何も舗装などはされていない砂場をただ一人馬を駆る。少し馬を走らせると、あまりの悪路にディアルは不安な気持ちが押し寄せる。聖女はか弱い少女だと聞いた。そんな少女がこの悪路を本当に歩いて来るのか?娼婦に担がれたのではないか、そもそも光属性の持ち主など本当にいるのか・・・それでもディアルは馬を走らせた。湖の畔までは行ってみよう。娼婦に担がれたのなら、それはそれで笑い話しになるだろうと考えた。