世界でただ一人のヒーラーは生殺与奪を握ってます。
目の前に緑が多く実り豊な山が視界に入り、ディアルはその山の方に手綱を引いた。馬はブルっと鼻を鳴らすと一瞬立ち止まる。ディアルは悪い悪いと馬に声をかけながら馬の首をさする。ディアルは馬を降りて、獣道を手綱を引いて進み、目の前に広がる湖で馬を休ませた。大きいとは言えないが綺麗な湖だった。水面に映る景色は息を吞むほどに美しい。まさに水鏡。まるで湖に木々が生えているように見える。ディアルは数秒間の時を止めて、その場に立ちすくしていた。

それから湖に沿って歩きながら辺りを見回す。すると、木造の小屋を見つける。決して綺麗とは言えない。素人が適当に組立てたのではないかと思われる外観。物置小屋か・・・しかしこの辺りに他の建物は見当たらない。ディアルは建付けの悪そうなドアをノックした。
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