世界でただ一人のヒーラーは生殺与奪を握ってます。
「君が噂の聖女なのか?」
ディアルの問いかけにアリシアは不思議そうな顔をした。
「・・・聖女?私は違います」
ディアルの問いかけをきっぱりと否定するアリシア。ディアルはきっぱりと否定したことに少し驚いたが娼婦から聞いた話しをアリシアに質問する。
「君は世界で唯一の光属性の持ち主であろう?」
アリシアの表情に少し陰りが見える。
「・・・はい、確かに私は光属性です。ですが聖女などといった大層な人物ではありません・・・むしろ皆に嫌悪される存在です」
自己を卑下する発言にディアルは目を丸くした。こんな幼い少女が表情一つ変えないで自己を卑下し、心を閉ざしているように見えた。ディアルは言葉失った。この少女に何があったんだろうか。澱みなく聞こえる声音は無感情の現れでないのか。
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