世界でただ一人のヒーラーは生殺与奪を握ってます。
その表情をディアルは暫く見つめていた。色気こそないが美しい。それにひきかえ心はこんなにも脆く崩れている。湖のように青く透き通った瞳。白磁のような肌。風に揺られて輝きを放つ金糸の髪。アンバランスなほど心は濁っている。この少女は笑う事があるのだろうか。

暫くするとアリシアが澱みのない綺麗な声を発した。
「あの、ディアル様はこちらに何の要件でいらしゃったのですか?もし、私を雇うのであれば報酬は六割頂きます。それから生殺与奪に関しては私に一任させていただきます。」
アリシアは事務的に言葉を発する。そこには先ほどまで会話をしていた少女の面影はなかった。
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