世界でただ一人のヒーラーは生殺与奪を握ってます。
要件があってきたわけではない。ただ娼婦の噂の聖女を確かめにきただけだ。戦から帰り娼婦を抱くのは一晩でいい。
擦り切れた心を癒すのにディアルは女を抱いていた。人を穿った槍から伝わる感触。断末魔の中で見据える瞳。その瞬間に憎しみを一身に受ける。こいつには家族がいたのか、帰りをまつ恋人や家族。それらの全てをこの手で、この槍で無作為に奪い取る。この少女が発する言葉のように事務的に人を殺す。それが騎士の責務だとしてもディアルは割り切れないでいた。甘い性格だということはディアルも分かっている。友人にその甘さが命取りになると警告を受けたこともある。
そういう優しい心がディアルの魅力でもあった。
ディアルはアリシアになんと答えるべきか言葉を探る。聖女に癒しを求めてきたと言ったら彼女は怒るだろう。
「・・・綺麗な湖があると聞いてね、俺はただそれを見に来ただけさ」
ディアルは嘘をついた。
擦り切れた心を癒すのにディアルは女を抱いていた。人を穿った槍から伝わる感触。断末魔の中で見据える瞳。その瞬間に憎しみを一身に受ける。こいつには家族がいたのか、帰りをまつ恋人や家族。それらの全てをこの手で、この槍で無作為に奪い取る。この少女が発する言葉のように事務的に人を殺す。それが騎士の責務だとしてもディアルは割り切れないでいた。甘い性格だということはディアルも分かっている。友人にその甘さが命取りになると警告を受けたこともある。
そういう優しい心がディアルの魅力でもあった。
ディアルはアリシアになんと答えるべきか言葉を探る。聖女に癒しを求めてきたと言ったら彼女は怒るだろう。
「・・・綺麗な湖があると聞いてね、俺はただそれを見に来ただけさ」
ディアルは嘘をついた。