世界でただ一人のヒーラーは生殺与奪を握ってます。

近づくバアルに先ずはカイが大楯を剣で叩きながら注意を惹く。怒りに震えるバアルの突進を大楯で防ぎ足止めをした。
余りの衝撃でカイがうめき声をあげた。
「うぅぅぅ」あばら骨が何本か折れた感覚。額から生汗が滴り落ちる。その姿を見たアリシアは静かに魔法を行使した。凛として綺麗な声でヒールと発した。
カイの体を暖かい陽だまりのような光りが包んだ。
カイは体から痛みが消えて、大楯をバアルにぶつける。ジルがすかさずバアルの大きな瞳を打ち抜いた。バアルは視界を失い棍棒をブンブンと振り回す。クロエは遠くから剣を振り下ろす。風の刃が綺麗な弧を描いてバアルの左腕を切り落とした。
「首を狙ったのに上手くよけらたわ」
「任せろ」ジルがバアルに近づく。俺がとどめを刺してやる。クロエにいい所を見せてやる。
ガンっと鈍い音が全体に響き渡った。
「ジルーっ」
クロエが悲痛な叫びをあげた。