世界でただ一人のヒーラーは生殺与奪を握ってます。

ウェルビンは少女に向かって挨拶をするように促すと少女はドレスの裾を少し持ち上げお辞儀をした。
「アリシアと申します」
澱みのない綺麗な声色がルルの耳に残る。ルルはお辞儀にたいして何も返さない。照れを隠し格好をつける。挨拶を返されなかったアリシアはどうしたらいいのかわからない表情を浮かべている。身分の違いという事をアリシアは重々承知している。そこら辺のことは城内に連れてあがるためにウェルビンが教育をほどこしていたのである。
ルルにとって剣術の稽古が楽しみになっていき、アリシアの姿がない時は極端なほど機嫌が悪くなるようになった。ルルの気持ちをウェルビンは感づいていたが年端のいかない恋心など一時の気の迷いとすておいたのだった。