世界でただ一人のヒーラーは生殺与奪を握ってます。

ウェルビンはドラグニール随一の剣使い。剣聖とまで言われている存在だった。その稽古は本格的なもので常に真剣を使って行われた。「木刀では本当の恐怖に打ち勝てません、いざという時に行動を起こすのは勇気と意思なのです。」
ウェルビンは当然手加減をする。それでもかすり傷を負わすこともある。かすり傷程度の事ならいざ知らず、子供というのは時に常識外れの行動をとる。

ある時、ルルは猪のように剣に向かって突進した。ウェルビンは咄嗟に剣を引いたがルルの額をざっくりと切ってしまう。いくら指南と言えども王子の体に傷をつける事は重罪であった。王子の額からドバドバっと血があふれる。