世界でただ一人のヒーラーは生殺与奪を握ってます。
仲間は全員いなくなった。焦燥感がエルザを襲う。それと同時にあきらめの気持ちも襲う。自分一人が生き残ることに対する罪悪感。
「アリシア」
ふと義妹のことが頭をよぎった。あの日、王様に呼ばれたのは私を人質にするためだった。よく笑う少女だった。少なくとも私がアリシアの心を壊したのかもしれない。アリシアに謝るまでは死ねない。
「くっそがぁぁぁぁぁああああ・・・こんなところで死ねるか」
エルザの周囲から火柱数本エルザを囲むように立ち昇る。炎は天高く、曇を突き抜ける勢いだった。それはエルザの魔力の暴走だった。半径数メートルを焦土と化すほどの威力でもあった。
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