夜になる前にわたしを照らしてくれたいちばん星は君でした。
再び海の方を見ると、水城くんが波に乗っていた。


ここでどんな会話が繰り広げられたかということ以前に、わたしがここに来ていることも知らない様子の水城くんは、いつものようにサーフィンを楽しんでいるようだった。


「はあ……」


わたしは岩の下で体育座りをして、膝に顔をうずめてこだまする瑠璃さんの声を必死で振り払おうとした。


瑠璃さんを見てからため息ばかりだなあ、わたし。


ザザーッ、ザザーッ。


「……さん。織原さーん?」


波の音に交じって誰かの声が聞こえて、意識が浮上してくる。


この声は……水城くん?


「ん……」


顔を上げると、そこには予想通り水城くんがいた。


わたし、寝ちゃってたんだ。


水城くんはサーフィンから戻ってきた後なのか、彼の髪やウェットスーツからは水が滴っている。


髪の毛が濡れていていつもと雰囲気が違う。


またいつもと違う水城くんを見つけて、かっこよくてドキッとしてしまう。
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