夜になる前にわたしを照らしてくれたいちばん星は君でした。

わたしが岩の上で1人で座って水城くんの練習風景を見ながら、そんなことを考えていた時のことだった。


｢あれー？　花凪じゃん！｣


忘れもしない、気の強そうなあの声が聞こえてきた。


それと同時にドキンと心臓が大きく脈を打ったのを感じて、覚えのある声の主ではないことを祈りながら声のした方に顔を向けると──。


｢あっ……浅野さ……｣


前の学校でわたしをいじめていたグループのリーダー的な存在、浅野さんだったた。


心臓がバクバク鳴って、息も震える。


逃げようとしたけど、腰が抜けて動けない。


水城くんは練習に夢中で、こちらには気づいていない。


どうしよう。


わたしは水城くんにもらったミサンガをお守りのように握りしめた。


｢なん、で……｣


なんで、こんな所に……。