夜になる前にわたしを照らしてくれたいちばん星は君でした。
何が起こってるの……?


私は瞬きもできずに固まって、目の前にある長いまつ毛をぼんやりと見ていた。


唇に感じる初めての感触で、わたしは今自分がどんな状況にいるのか分かった。


自分が今どうなっているかを理解したら、急に緊張して体が熱くなってきた。


心臓のがうるさくて、水城くんに聞こえてるんじゃないかと思うくらいだった。


「…………」


唇が離れて、至近距離でわたしを見つめる水城くんの瞳は、傷ついたように揺れていた。


「もう大丈夫?」


「……ん」


わたしの返事を聞いて安心したように笑うその笑顔も、どこかいつもと違っていた。


まるで、いちばん星が雲に隠れているみたいな。


気になったけど、今のわたしにそれを聞く勇気なんてとても出なくて、わたしには得体の知れない罪悪感と、水城くんの唇の感触だけが残っていた。
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