夜になる前にわたしを照らしてくれたいちばん星は君でした。
それから少しして、気づけば今日はいよいよ大会の3日前。


わたしはなんとなく朝早くに目が覚めて、早朝の浜辺をあるいていた。


しばらくあるいているも、見慣れない場所に水城くんがいることに気づいた。


水城くんがいたのはいつもの岩とは離れた場所にある木陰だった。


なんでこんな所に……?


近づいてみると、膝をついて小さな石に手を合わせているようだ。


なんだろう、3日後の大会のことを祈ってるのかな……?


「みず……」


声をかけようとして、躊躇った。


水城くんが、泣いていたから。


今まで水城くんの涙なんて見たことがなかったから、わたしは声をかけていいのか分からなかった。


水城くんはわたしの足音に気づいたらしく、振り返った。


あんな悲しそうな目をする水城くんは初めてで、わたしはどうしていいか分からなかった。


「ごめんね、こんなとこ見せちゃって!」


そう言っていつものように笑おうとする水城くんは、明らかに無理している。
< 161 / 188 >

この作品をシェア

pagetop